黒茶碗(上等品)
長次郎写
銘 東陽坊
佐々木昭楽(三代) 作
木箱入
寸法 直径12.2㎝×高さ8.8㎝
[説明]
利休書き付けの銘「東陽坊」は、門人の浄土宗真如堂(真正極楽寺)の住職、東洋坊長盛である。 その茶室「東陽坊」は後、建仁寺本坊にうつされた。東陽坊所持の後、東本願寺、中井主水、武田杏仙法印と 伝わり、添状によれば元禄十年鴻池道億に譲られ、万延二年鴻池善右衛門に五百両にて移り、戦後まで 同家重宝として伝わった。長次郎七種の一つ。重要文化財。
「東陽坊」は、他の長次郎茶碗とは違った独特の作行を見せている。特に口部が抱え込まれず、逆に内側から 削られ、僅かに端反りをつけているのは、異例である。胴から腰、底部にかけても直線的で、小振りな高台は、 畳付きが巾広い。黒釉はよく溶け艶やかである。