茶道具の棗(なつめ)とは?歴史や種類を学んで使えるようにしましょう

こんにちは、 茶道具通販専門店ふげつ工房、代表の田中です^^

茶会の世界では、さまざまな種類の道具があります。

茶道をするにおいて、
いくつか知っておくべき道具がありますが
その代表的な1つが棗(なつめ)です。

抹茶を入れておく容器ですが、
色や形が多岐にわたるので使い分けが必要になります。

茶道を学び始めた人は迷うかもしれませんが、
基本的な知識を覚えておけばすぐに使いこなせます。

一緒に茶道の道具について、知識を深めていきましょう^^

茶道具の棗とは

棗とは、粉末上の抹茶を入れる容器の一種です。

容器が棗と呼ばれる由来は、
植物のナツメの実に形状が似ていることからきました。

ここで、お茶を入れる道具と聞くと
茶入と同じと感じるかもしれませんが
両者には違いがあります。

そもそも、茶道で出される抹茶には
さらっとした薄茶と
ドロッとした濃茶の二種類が存在します。

古くから、濃茶は苦みや渋みがあまりないことから上級品として扱われてきていました。

一方、薄茶は濃茶よりランクが下がる抹茶が使われていたことから扱いが低かったのです。

しかし、時代とともに薄茶が人気となっていき
薄茶だけで茶会をするようになりました。

濃茶のお供程度にしかみられていなかった薄茶が、
独立して地位を上げていったのです。

初めの頃は、薄茶は濃茶の容器と一緒に入れられていましたが

地位が確立していったことにより
幅広い人たちから愛されるようになったことで
専用の容器を作ることにしました。

その専用の容器こそが棗となります。

茶道具の棗の種類

棗といっても、
さまざまな種類がありますが
形状について細かく分けることができます。

千利休が在来の茶器を
好ましいと思う寸法に改めて世に出した中から、

如心斎が12種を選び、
さらにこれに菊・桐の蒔絵(各大小)の4器をくわえた
16器が利休形として伝えられています。

これら16器以外にも利休形として中次・平棗などが定められています。

16器

  • 雪吹(ふぶき)大
  • 雪吹小
  • 面中次(めんなかつぎ)
  • 茶通(さつう)
  • 大棗
  • 中棗
  • 小棗
  • 鷲棗(わしなつめ)
  • 一服入棗
  • 薬器(やっき)
  • 白粉解(おしろいとき)
  • 下張棗
  • 菊棗大
  • 菊棗小
  • 桐棗大
  • 桐棗小

中でもオーソドックスなのは、
大棗・中棗・平棗 です。
平棗は、白粉解がのちに変形したものです。

基本的に、
シンプルな無地に黒塗しかありませんでしたが

各代家元が、色・蒔絵・沈金など加飾を施し、
数多くの好みの茶器が出来てきました。

出始めたときは、
黒塗と呼ばれる漆器がほとんどを占めていました。

本体を無地に黒塗に塗ったものを、
真塗と呼んで愛用していましたが

のちに溜塗(ためぬり)が出てきたことで変化が生まれます。

溜塗は、下地塗りをしてから、朱色で中塗りをして
半透明の透き漆で仕上げます。

使うほどに中塗りの朱色が味を出すので、
塗りたて(初期)のものと違い変化を楽しむことができます。

そして今度は、
中国から日本にやってきた人物が広めた技術である一閑張が登場します。

和紙を貼り付けで乾燥したのち、
描いた模様や絵の原型を抜き取ったあと
渋柿を塗ることで完成させる方法です。

最後は、蒔絵・沈金の誕生となります。

蒔絵は、本体に直接絵付けを行い、
乾く前に金粉などを施すことで豪華なデザインを生み出しました。

沈金は、本体に直接のみで絵を彫り、金粉や銀粉を施します。

茶道具の棗の使い方

棗は、抹茶を入れる容器ですが
きちんとルールがあります。

抹茶を棗にいれる時には
ふるいなどでこしてから入れます。

茶杓ですくい盛るように入れるのが正式です。

なぜこのようなことをするのかというと、

抹茶の粉というのは細かいため
静電気を帯びやすく、舞い上がりますので、茶杓で静かにいれます。

又、抹茶は、しばらく放置すると湿気をすいとり塊ができてしまいます。

そのままの状態で茶を点てると、
お湯と混ざり難く塊が残り、口あたりが悪く味もよくありません。

いざ、お茶会を開く際に塊がある抹茶は使用したくないものです。

抹茶を保管するとき、
冷蔵庫に入れて、湿気をふせぎましょう。

棗は、抹茶を保管する器ではなく、
お客様の前で点前をする際に、美味しい抹茶を入れて運ぶ道具です。

茶道具の棗を保管する方法

茶道具全般にいえることですが、
保管方法については注意が必要です。

まず、茶道具は使用した後に
洗剤で洗うことはありません。

普段、使用する食器のように洗わないようにしましょう。

水洗いをしていますと、
塗りや蒔絵・沈金などの加飾がはげたり傷ついたりします。

棗も使用し終わったら、
中の抹茶をきれいに取り除きましょう。

水でゆすぐのではなく、
羽根箒(はねぼうき)で
外側と内側の抹茶を払ったら、
乾いた柔らかい布を利用して丁寧に拭きます。

この際、少しでも抹茶が残っていた場合、
カビの原因となるので細心の注意を払いましょう。

臭いが残ることもあるので、
手間をかけてきれいにすることが大切です。

きれいに拭き終わったら
陰干しをして完全に乾燥させたら木箱に戻しましょう。

木箱は、容器を保護するだけでなく
湿気や乾燥から守ってくれるのです。

茶道具は、長く使えるものばかりのため
しっかりとした手入れを大切に行うことが大切になります。

棗は日常生活でも身近に使える茶道具です

棗は、普段なじみのない道具ですが
ただ飾るだけでも華があります。

意外と、愛好家もおり
骨とう品的な価値があることから人気が高いです。

風合いや形など種類も数多くあるので、
集めたり見て楽しむ分には飽きることがありません。

一度、伝統のある棗を鑑賞してみてはいかがでしょうか^^